MACDの使い方:トレーダー必須の指標

MACD とは何か - 基礎知識

MACD (Moving Average Convergence Divergence) は、トレンドを示す指標であり、モメンタム (Momentum) も同時に測定できる

この指標は、EMA (Exponential Moving Average) の2本の線を組み合わせて作られる - 一方は短期の価格変動を追い、もう一方は長期を追うことで、両線が近づく (Convergence) か離れる (Divergence) を観察する。

MACDは、1970年代後半にGerald Appelによって考案され、EMA(26) と EMA(12) を比較し、EMA(9) のシグナルラインと比較してリアルタイムで価格のトレンド変化を捉える。

MACDの構造はどう設計されているか

1. 基本的なMACD値

MACD = EMA(12) - EMA(26)

基本ルール:

  • MACD > 0 = 上昇トレンド (短期平均線が長期平均線より高い)
  • MACD < 0 = 下降トレンド (短期平均線が長期平均線より低い)

また、MACDの傾きからトレンドの強さも測れる - 傾きが大きいほど強いトレンド、傾きが減少すれば弱まる。

2. シグナルライン

シグナルライン = MACDのEMA(9)

シグナルラインは、シグナルの確認に素早く使える:

  • MACD > 0 かつ シグナルライン > MACD = 強気のMACD (上昇を確認)
  • MACD < 0 かつ シグナルライン < MACD = 弱気のMACD (下降を確認)

3. MACDヒストグラム

ヒストグラム = MACD – シグナルライン

トレンド (Trend) とモメンタムの強さを示す:

  • ヒストグラム > 0 = MACDがシグナルラインより高い (上昇トレンド)、プラスが大きいほど強い
  • ヒストグラム < 0 = MACDがシグナルラインより低い (下降トレンド)、マイナスが大きいほど強い
  • ヒストグラム = 0 = 転換点、トレンド変化のサイン

なぜEMAをSMAの代わりに使うのか

EMAは最新の価格により重みを置くため、価格変動に素早く反応しやすい。これに対し、SMAは平均をとるため遅れやすい。MACDは株価や通貨のようなタイムシリーズデータに適しているため、より迅速なシグナルを得るためにEMAを採用している。

MACDは何を教えてくれるか

1) トレンドの読み取り (Trend)

強い上昇トレンド: EMA(12) が EMA(26) より高く、間隔が広がる → MACDは正の値を示し、上昇し続ける

強い下降トレンド: EMA(12) が EMA(26) より低く、間隔が広がる → MACDは負の値を示し、下降し続ける

弱い上昇トレンド: MACDは正だが傾きが減少 → トレンドの勢いが弱まる

弱い下降トレンド: MACDは負だが傾きが減少 → トレンドの勢いが弱まる

2) モメンタムの強さを測る (Momentum)

MACDが急激に上昇または下降しているときは、EMA短期と長期が乖離している=モメンタムが強いことを示す。

逆に、MACDの傾きが小さくなると、EMAが近づき始めている=モメンタムが弱まっている。

( 3) 相反するシグナルの検出 ###Divergence)

ベアリッシュ・ダイバージェンス: 価格が新高値をつける一方、MACDは低下 → 上昇トレンドの終わりを警告

ブルリッシュ・ダイバージェンス: 価格が新安値をつける一方、MACDは上昇 → 下降トレンドの終わりを警告

MACDの使い方:実践的なトレード手法

( 方法1: ゼロクロス - 基本的なシグナル

買いシグナル: MACDが0ラインを上抜け 売りシグナル: MACDが0ラインを下抜け

長所:明確 短所:シグナルが遅れることが多く、トレンドがすでに進行している後に出ることも

) 方法2: MACDクロスオーバー - より早いシグナル

買いシグナル: MACDがシグナルラインを上抜け ###MACDがまだマイナスでも( 売りシグナル: MACDがシグナルラインを下抜け )MACDがまだプラスでも###

この方法はゼロクロスより早く捉えられるが、誤シグナル(Whipsaw)が増える可能性も。

( 方法3: ダイバージェンス - 反転ポイントの検出

MACDと価格が逆の動きを示すときに使う。頻繁には出ないが、出たときは高い効果を持つ。

MACDと他の指標の併用

) MACD + RSI RSIは短期のモメンタムを素早く測定し、MACDは中期のトレンドを確認。RSIで買われ過ぎ/売られ過ぎを捉え、MACDでトレンドの変化を確認。

( MACD + ボリンジャーバンド Bollinger Bandsは価格のブレイクアウトを示し、MACDは新しいトレンドを示す。まずBollinger Bandsのブレイクを見て、MACDのゼロクロスで確認。

) MACD + William % Range William%Rangeは買われ過ぎ/売られ過ぎを示し、MACDはトレンドの変化を示す。Williamが極端なゾーンに入ったときにMACDで確認。

( MACD + プライスパターン 三角形、H&S、ダブルボトムなどの価格パターンを最初のシグナルとして使い、MACDのゼロクロスでブレイクを確認。

知っておくべき制約

MACDは遅行指標であり、価格より遅れてシグナルを出す:

  • ゼロクロスは最も遅く、トレンドがすでに進行している後に出る
  • クロスオーバーは早いが誤シグナルも多い
  • ダイバージェンスは稀だが、出たときは信頼性が高い

MACDだけに頼らず、他の指標や価格パターンと併用して精度を高めること。

実例:USDCHFの数値例

日付 終値 EMA)12### EMA###26### MACD シグナル ヒストグラム
21/07 0.8651 0.8705 0.8808 -0.0104 -0.0067 -0.0037
15/06 0.9001 0.9055 0.9021 0.0034 0.0039 -0.0005
14/06 0.9053 0.9065 0.9022 0.0042 0.0040 0.0002
13/06 0.9083 0.9062 0.9020 0.0041 0.0039 0.0002

この実例では、グラフにプロットするとMACDとシグナルラインが連動し、ヒストグラムが両者の差を示す。

MACD設定のプラットフォーム上での方法

  1. インジケーター追加 → MACD選択
  2. FastLength ###EMA短期### と SlowLength (EMA長期) を調整
  3. SignalLengthを調整してシグナルラインの速さを変更
  4. 初期値 (12, 26, 9) はデイトレからスイングまで幅広く使える

まとめ

MACDの使い方は、選ぶ手法次第 - ゼロクロスで明確に、クロスオーバーで早く、ダイバージェンスで反転を捉える。

成功の鍵は:

  1. MACDの目的を理解する
  2. 他の指標や価格パターンと併用
  3. パラメータやタイムフレームを調整し、自分のトレースタイルに合った方法を見つける
  4. デモ口座で練習し、実践に備える

効果的なトレードには、MACDはあくまで一部であり、リスク管理や実戦経験と組み合わせることが最も重要である。

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