2025年プラチナ投資:なぜこの貴金属はしばしば無視されるのか?

貴金属市場は引き続き活況を呈している。金は1オンスあたり3300ドル以上で安定し、銀は38ドルを超えて上昇している。一方、プラチナは伝統的な投資対象として、投資家にしばしば見落とされている。この現象は妥当だろうか?

二つの貴金属の全く異なる動き

かつて、プラチナの価値は金を超えていた。2014年には、プラチナの1オンスあたりの取引価格は1500ドルを超え、当時の金価格を大きく上回っていた。しかし近年、両者の価格動向は逆転している。

金は2019年から連続して史上最高値を更新し、2025年4月には3500ドルの大台を突破した。これに対し、プラチナの動きはジェットコースターのようで、2020年初には600ドルを割り込み、その後1000ドル付近で反復して変動した。2025年初頭に入ると、プラチナは明確な上昇を始め、7月には1450ドル近くまで上昇した。

なぜ金は常にプラチナに勝るのか?

表面上は、プラチナは金よりもはるかに希少であり、より価値が高いはずだ。しかし、実際は逆である。金は純粋な避難資産および価値保存手段として、市場の支持をより強く集めている。一方、プラチナはその工業的性質(特にディーゼル触媒コンバーターでの用途)により、自動車産業の周期的な変動の影響を大きく受けている。

過去数年間、伝統的な自動車産業全体が軟化し、ディーゼル需要が大幅に減少したことで、プラチナの需要も低迷した。これが、2011年以来、プラチナと金の価格比が継続的に低下している理由だ。これは歴史上最長の負のサイクルである。

2025年の転換点

今年初めから状況は変わり始めた。プラチナは1月の900ドルから7月には1450ドルへと50%以上の上昇を見せた

この上昇は複数の要因によるものだ:

  • 南アフリカなど主要産地の供給危機
  • 構造的な供給不足(需要超過)
  • 物理的な不足の兆候(借入金利の高騰)
  • 地政学的緊張
  • 中国などの宝飾品需要の予想外の堅調さ
  • 米ドルの軟化によるドル建て商品価格の押し上げ
  • 貴金属ファンドへの継続的な純流入

これらの要素が重なり合い、「嵐」のような完璧な組み合わせを形成している。

供給と需要の展望分析

世界プラチナ投資委員会の予測によると、2025年の世界のプラチナ需要は7863千オンスに達し、供給は7324千オンスにとどまる見込みで、約539千オンスの供給不足となる。

需要側を見ると、自動車産業が41%、工業用途が28%、宝飾品が25%、投資需要が6%を占める。全体の需要はわずか1%の減少と予測されるが、自動車、宝飾品、投資関連の需要は増加する見込みだ。実際の減少は工業部門の9%の低下によるものだ。

供給側では、伝統的な採掘の成長余地は非常に小さく(わずか1%)、しかしリサイクル市場は12%の成長が見込まれ、重要な補完役を果たす。

プラチナ vs 金:投資価値はどの程度か

希少性だけで見ると、プラチナは金に勝る。しかし、投資の観点からは、金の価値保存特性がより好まれる

しかし、プラチナは独自のメカニズムを提供している。それは、避難資産と工業商品という二重の性質を持つ点だ。経済が繁栄しているときは工業需要が価格を押し上げ、景気後退時には避難需要が価格を支える。この対称性により、特定の状況では株式ポートフォリオの効果的なヘッジとなり得る。

保守的な投資家にとっては、貴金属の上場投資信託(ETF/ETC)や実物のプラチナに1-3%のエクスポージャーを持つことで、過度なリスクを増やすことなく資産の多様化を図ることができる。

短期リスクと長期的なチャンス

今年初めの上昇幅は大きいが、逆方向の調整リスクも無視できない。頻繁な利益確定や米ドルの上昇、工業需要の悪化が局面を逆転させる可能性もある。

真の投資チャンスは、構造的な供給不足に対する長期的な賭けにあるかもしれない。採掘能力が2029年まで緊張した状態を維持すれば、供給不足は継続し、忍耐強い投資家に支えとなる。

注目すべき指標には、米ドルの動向、借入金利の変化、中米貿易摩擦、宝飾品・自動車産業の実需データなどがある。

投資計画策定のアドバイス

取引型投資家向け:プラチナの高いボラティリティはテクニカルなアービトラージの機会を提供する。一般的な手法にはトレンドフォローや平均回帰戦略があるが、厳格なストップロスとポジション管理が必要だ。

資産配分型投資家向け:プラチナをコアポートフォリオのサテライトとして位置付け、主要なポジションとしないこと。定期的なリバランスにより、追加リスクを効果的に管理できる。

最終的には、どの方法を採用するにせよ、投資判断は個人のリスク許容度と市場展望の判断に基づくべきであり、過去の上昇に盲目的に追随すべきではない

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