USDTは暴落する可能性があるのか？USDCに乗り換えるべきか？

多くの人は名前だけ見て、USDTもUSDCもどちらも米ドルに連動したステーブルコインだから大差ないだろうと思っています。しかし、実際にはこの2つはまったく異なる存在です。一方は野生的に成長し、もう一方は体制内で生まれました。

USDTというのは、最初からコンプライアンスを売りにしていません。そのロジックはとてもシンプル——「使えればいい」。つまり、USDTの存在意義は、世界中で銀行口座を持てず、米ドルを手に入れられない人たちが、オンチェーンで米ドルを使えるようにすることです。

準備資産？不透明。議論？山ほどある。規制？毎日のように指摘されている。でも取引量と流通量？常にトップです。

これは矛盾しているように聞こえますが、よく考えると合理的です。金融システムが崩壊した地域を見てみてください——中東のグレーなチャネル、南米のインフレが止まらない国、東南アジアの越境小口決済のビジネスマンたち——彼らはあなたの資産がクリーンかどうかを気にせず、とにかくいつでも現金化できるかだけを重視します。USDTはまさにこのニーズを埋めているのです。

金融が混乱し、正規の米ドルが手に入らない場所ほど、USDTの需要は高まります。USDTが提供しているのは安心感ではなく、生き残るための力です。これこそが、市場が米ドルを求めて自助努力をする反応なのです。

USDCは？まったく違います。Circleが発行するこのコインは、最初から機関投資家、企業、コンプライアンス重視の市場をターゲットにしています。

準備資産？定期的に公開。カストディ？完全透明。規制？アメリカの政策と深く結びついています。

USDCは本質的に、アメリカの規制体制がブロックチェーン上に投影されたものです。USDCがもたらすのは最高の流動性ではなく、「合法性」です。銀行や決済会社、上場企業がオンチェーンで決済や監査、コンプライアンス対応をする必要がある時、USDCが唯一触れることのできる選択肢となります。

しかし、コンプライアンスは管理されることも意味します。資産は凍結される可能性があり、アドレスはブラックリストに載せられ、クロスボーダー利用も制限されるかもしれません。USDCは脱ドル化のツールではなく、むしろドル支配のデジタルな延長線です。

だからこそ、USDTは秩序が失われ、排除された地域を主導し、USDCは秩序があり、機関が多い市場で拡大しているのです。

世界にはもともと「秩序」と「失序」の両面があるので、短期的にはどちらも互いに取って代わることはできません。これこそがステーブルコインの本当の意味なのです。